アクションと色彩に引き込まれる!『英雄 ~HERO~』あらすじ見どころ|ネタバレあり

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さっそくですが、本日のトピック。ジェット・リー主演の映画『英雄 ~HERO~』です。

『英雄 ~HERO~』のあらすじと見どころを、ネタバレありで紹介します。

ネタバレありですが、結末やストーリーの核心となる部分は伏せますので、この記事を読んだ後でも映画を楽しめるでしょう。

さてー。この映画は2002年に公開されたものです。
また古い映画を…と思われるかもしれませんが、見てみたら面白かったんだからレビューするしかない!

この映画の見どころを簡単にまとめると、こんなところですねー。

✅ ワイヤーアクションを駆使した演舞のようなアクションがカッコよ楽しい
✅ 場面ごとに美しい衣装・セットで表現されていて色彩に引き込まれる
✅ 予定調和の結末だがそこに至るまでエモさが加速するストーリー

すでに見たくなってきた人は、この記事はここで閉じてもらってもOKです。

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それでは、しばらくお付き合いくださいませ。

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映画『英雄 ~HERO~』導入部分までのあらすじ・主要キャスト紹介

『英雄 ~HERO~』は2002年に中国で公開され、2003年には日本、翌年にはアメリカで上映されました。

ジャンルとしてはアクション映画ですね。

豪華なキャスト、美しい色彩が話題を呼び、興行成績も登場週第1位であるとか記録塗り替えたとか。なかなかに派手です。

では最初に、映画『英雄 ~HERO~』の導入部分までのあらすじ・主要キャストを紹介します。

 

導入部分までのあらすじ

中国の戦国時代末期。
秦王(のちの始皇帝)は刺客の襲撃を恐れ、忠実な家臣たちを除いては、何人も百歩以内の距離に近づけさせなかった。

そんなある日、秦王のもとに、一本の槍と二本の剣を携えた無名(ウーミン)という秦の役人が現れる。
その槍と剣は、秦王を狙う3人の趙国の刺客たちの武器であった。無名は10年をかけて習得した剣術で、彼らを倒したのだと言う。

秦王は刺客を倒した褒美として、無名に十歩の距離まで近づくことを許す。
そして、無名は刺客たちを倒した経緯を語り始める……

テーマは「始皇帝暗殺未遂」という有名な史実(と言われている)ネタですね。
荊軻という、中国戦国時代末期の刺客が、策略を用いて秦王の暗殺をしようとする、という話です。

史実をもとにする以上、時代背景や結末には大きな縛りがあります。
そこを上手く作らないと、ありきたりのエンタメになってしまうのですが…。

それを監督の張芸謀(チャン・イーモウ)は!

東洋の『マトリックス』とも称されるワイヤーアクションと CG を駆使した映画に仕上げたものだから、なんかすごいことに!(語彙力)

最後まで見ていて飽きない映画! 僕はそう思います。

 

主要キャストと登場人物の紹介

無名(ジェット・リー)…十歩の距離でなら確実に相手をしとめる「十歩一殺」の使い手。3人の刺客を倒し、秦王に謁見する。
秦王(チェン・ダオミン)…のちの始皇帝。暗殺者の襲撃を恐れ、何人も100歩の距離より近づけない。
この物語は、無名と秦王の対話という形式で多くの部分が語られます。
無表情に淡々と語る無名、興味深くその話を聞くも違和感を感じ始める秦王。
ジェット・リーとチェン・ダオミンの対比が、僕は好きです。
残剣(トニー・レオン)…趙の国の剣士。書にも通じる達人。
飛雪(マギー・チャン)…残剣とともに秦王を暗殺しようとする剣士。残剣とは恋人関係。
如月(チャン・ツィイー)…残剣に仕える侍女。
趙の国の剣士たちなのですが…。
この3人と無名の関係性は、物語が進むごとに変わりつつも明らかにされていきます。
その状況の変化と俳優たちの演技に注目するのも面白いです。
長空(ドニー・イェン)…槍の達人。雨の中、無名と戦いを繰り広げる。
槍の達人で、趙国の刺客でもあります。
カンフーアクションが見せ場の映画でもあるので、無名は幾人もの刺客たちと戦います。
その中でも、ワクワクする演武・アクションという点では、VS長空がベストバウトだと思いました。

 

 

映画『英雄 ~HERO~』のストーリーと見どころ

さてここからは、無名が秦王への謁見を果たしたあとのお話。

この映画では、無名と秦王の対話シーンはざっくりと3つ(細かく言えば4つ)の場面に構成が分かれて進んでいきます。

そして面白いことに、場面ごとに赤、青、緑、そして白の美しく幻想的な色彩で世界が描かれているのです。

まあ僕なんかは最初、

お、色が変わった。綺麗じゃん?

くらいにしか理解してなかったんですけどネ。

知っていればより映画を楽しめるので、それぞれの色彩がどのような世界なのかもあわせて説明していきます。

 

第一の場面|無名、いかに長空を倒したかを秦王に語る

まずは長空を倒した褒美として、秦王に20歩まで近づくことを許された無名。
秦王に問われ、いかに長空を倒したかを語り始めます。

無名と長空が戦うこの場面に特別な「色」はありません。
雨のシーンでもあるので、やや薄暗いグレーのような感じはしますが。

しいて言えば、どの色彩にも染められていない世界です。

そして、この「無色」は(無名の思惑はともかく表面的には)何の脚色もされていない事実のストーリーであることを表しています。

 

・碁会所に現われた長空に、秦の七剣士が挑むが、あっさり敗れる。
・雨の中、無名と長空の壮絶で静かな戦いが始まる。

この映画全体的なことですが、戦いは礼から始まる演武を見ているようです。
ワイヤーアクションと CG も相まって、リアリティには欠けますが爽快です。

ただまあ、その演武のレベルがハンパじゃなく、これぞカンフーアクション。もっとやれー!という感じです。

あと秦の七剣士ってもちろん七人いるんですが、少し手合わせくらいで敗退です。弱すぎなんじゃ…。

いや、それだけ長空が強いってことなのかなー。

 

・楽師の奏でる音楽の中、意識の中での戦いが続く。
・楽師の琴の音が止んだとき、無名は長空を倒して決着する。

達人の戦いにもはや物理は不要なのか!

それを表現するように、重力を無視したような高速ワイヤーアクションが繰り広げられます。
カンフー映画ファンとしてはワクワクが止まりません。
むっふー!

そして、ここぞというシーンで投入されるスローモーションが、ほんと東洋の『マトリックス』なんですわー。

まじかー。それじゃお主は残剣と飛雪よりも強い?

いいえ

詳しく

 

第二の場面|無名、離間の計を用いて残剣と飛雪を倒したと語る

さらに残剣と飛雪を倒した褒美に、秦王に10歩まで近づくことを許された無名が語る場面。

この場面は「赤」に染められた世界。
舞台は秦に攻め込まれている趙で、戦のさなかの緊張感・絶望感も赤い色彩から感じます。

さらに「赤」と言えば、情熱や怒りなどがイメージされたりもしますが……。

 

・趙の国で暮らす残剣と飛雪は、恋人関係にある。

そこに趙国の人間のふりをして現れる無名。
無名はまず、書家でもある残剣に書を依頼しますが、その本心は「書から残剣の剣の極意を見極める」ことにありました。

依頼した字は「剣」ですが、のちのち物語の核心にせまるキーアイテムになるので、ここではこれ以上ふれません。

 

・でも飛雪は長空と一夜の過ちしちゃって、残剣は嫉妬してる。
・そこに如月が加わって愛憎どろどろ。

無名が狙ったのは策略による同士討ち。離間の計ってやつでしょうか。

時代は始皇帝よりあとですが、三国志などを見ていると出てきたりします。曹操(そうそう)が馬超(ばちょう)との戦いの際に用いた作戦ですね。

それにしても、まさかのNTR展開ですかー。
無名は長空からアイテムドロップした「長空の槍」を見せ、さらに二人の関係悪化を誘うように「長空の遺言(嘘)」を伝えます。

 

・残剣は飛雪に刺され、仇討ちに向かった如月も飛雪に返り討ちされる。
・そして心ボロボロの飛雪は、無名の策略どおりに倒されてしまう。

ほんと趙国の刺客たち、イイところなし。

この先はまた違った人物像が語られるのですが、この「赤」の世界での残剣と飛雪と如月は、みんな揃って印象悪いですな。

とは言え、東洋のマトリックスアクションは健在です。

攻め込んできた秦の軍が「おや、空が黒くなったぞ?」てくらいの大量の矢を射かけますが、無名と飛雪のコラボバトルで叩き落とします。余裕です。

矢ごときでは、誰もかすり傷ひとつ負いません。

そしてこれ、最後に生きてくる伏線、演出でした(笑)

 

NTRかー嫉妬かー。そうかー。
でもお主、ある人物を見くびってるぞ

誰を?

わしだ

ところがこれを聞いていた秦王、無名が語っているのは嘘であると見抜きます。

つまり、この「赤」の場面は無名が語った嘘のストーリー、であることを表しています。
そういえば、「赤」って「真っ赤な嘘」とかでも使うよね。

謎はすべて解けた! 長空もわざとお主に負けたのだろう!

 

第三の場面|秦王、無名の嘘を見破りその正体にたどり着く

続いて、無名の嘘に気づいた秦王が語り始める場面。
この場面は「青」に染められた世界です。

この「青」の場面は、秦王が「真実はこうであろう」と語る想像のストーリーを表しています。

個人的には、この青い世界が美しくて一番好きだったりします。

 

・無名は残剣と飛雪に、秦王暗殺ための協力を依頼する。
・そして飛雪は秦軍の見ている中、無名との一騎打ちで死を選んだ。

「無名が刺客を倒した」ことの証人として秦軍を利用するため、飛雪は秦軍の見ている中、無名に一騎打ちを挑んで倒されます。

この「青」の残剣と飛雪には愛があって、赤い世界で見たときとはダンチに好感が持てます。
一騎打ちに向かう2人のシーンも尊い。ベタだけどすごく尊い!

というか、これ語っているのは秦王のイマジネーションなので、敵として恐れている反面、人としての器の大きさは認めていたようです。

 

・残剣と無名は、飛雪の弔いのため、意識の中で手合わせをした。

そして意識の中で、キャッキャ!ウフフ!と戦ったのであろう?

キャッキャ!ウフフ!とか言うなし

無名と残剣、達人同士の意識の中の戦いに、もはや重力など無意味です。

物理法則など存在しない!
ワイヤーアクションの極みバトルです。

そして青い湖上を舞うような演武は、なんというか、美しく静かで優雅です。中華ファンタジーの真骨頂。

ただね、冷静に見ちゃうとシュールでもあるので……ファンタジーとして楽しみましょうね。

 

それはおいといて、お主は暗殺者だな

(いきなり来たな)

秦王はついに無名の正体、そして、その余人には真似できない剣術の正体にもたどり着きます。

「十歩一殺」(注:日本語字幕では「十歩必殺」と表示されています)の技名が明かされ、すでに自分の敗北であると悟る秦王。

ちなみにですがー。
このシーンの秦王、というかチェン・ダオミンの演技がすごく好きです。

怒るでも怯えるでもなく。潔く負けを認める王の矜持。やり残した大望への無念。
たぶんいろいろな思いが混ざって……そっか、こういうときって笑うんだー。まじカッコイイ。

さてー。もはや暗殺待ったなし必殺の状況なんですが…。

さすがの大王もある人物を見くびってるし

はぁ?誰を

残剣さんっす

 

最後の場面|無名、残剣に託されたすべてを語り秦王に相対す

そして最後の場面、自身が暗殺者であることを秦王に突き付けられた無名が、真実を語る場面。

この場面の色は「白」。
白い衣装が死に装束を連想させ、緊迫感が増してきます。

この「白」の場面は、無名がすべてを語る真実のストーリーを表しています。

 

・長空の槍を見せ、残剣と飛雪に秦王暗殺の協力を依頼する無名。
・さらに長空との決闘は芝居であって健在であると明かされる。
・しかし残剣は秦王暗殺を止めようとし、飛雪と決裂する。

初手、チーム「残剣&飛雪」は方向性の違いからまさかの解散です。

とは言え、愛憎どろどろ「赤」の世界と異なり、すれ違いつつも互いを想う気持ちは「青」の世界の流れから変わっていません。

そこが伝わってくるから、見ていてもどかしくもあります…。
手ずから傷つけてしまった残剣を気遣うシーンの飛雪(マギー・チャン)、可愛いです尊いです。

 

・飛雪の協力を得て、秦王への謁見に向かう無名。
・その途中、残剣は無名に3年前の秦王暗殺未遂のいきさつを語る。

このシーンでの無名と飛雪の戦いは芝居なので、飛雪は生きています。

「飛雪を倒し」て剣を譲り受け、ラスボス秦王のもとへ向かう無名ですが…。

ここで最後の色彩、「緑」に染まる世界です。
この「緑」の場面は、秦王と残剣が相まみえる過去の事実(秦王暗殺未遂)を表しています。

 

・残剣と飛雪は王兵を蹴散らしながら、秦王の宮殿にたどり着く。
・そしてついに、残剣の刃が秦王の首に届くが…

やっぱり残剣と飛雪、めちゃくちゃ強い。2人 VS 3,000人で楽勝ってヤバい。

そして、宮殿での秦王と残剣の一騎討ち。
ワイヤーアクションも爽快ながら、幾重にも張られた緑色の幕の中での演武が美しい。

こののち秦王は、刺客の襲撃を恐れて宮殿からすべての幕を取り払ってしまいます。

いや、それは設定の後付けであって、この「緑」の世界を演出するため、無名が謁見するシーンではあえて幕を排除したのでは?

と勘ぐってしまうほど、この緑のアクションシーンはインパクトがありました。

 

あのときの残剣まじ怖かった。わし、あっ死んだなって思ったし

そんなことより、そのあと残剣さんが…

(そんなこと)

ここで色彩はまた「白」に戻ります。

そういえば、「赤」「青」「緑」の光の三原色を合わせると「白」になるので「真実の白」という意味付けもしているのかなー。

 

・3年前の秦王暗殺が未遂に終わった理由は?
残剣が無名に語り、託したものとは?
・秦王の行動、無名の決断、残剣と飛雪それぞれの結末は…

これはこの映画の核心なので、さすがにネタバレしませーん。

映画は見るつもりないから最後まで教えろよ

そう言われてもー。ごめんなさい、無理です(笑)

この先は一気にクライマックスに突き進んでいきますので、ぜひ続きは映画を観て楽しんでください!

 

 

あとがき

この記事では、ジェット・リー主演の映画『英雄 ~HERO~』のあらすじと見どころを、ネタバレありで紹介してきました。
ストーリーの核心となる部分は伏せたので、今からでも映画を楽しめると思います。

もう一つ付け加えると、この映画はハッピーエンドになりようがない「悲劇」なんですよね。
誰もが自分の信じる道を、最善だと考える選択をするけど、悲しい結果を生んでしまう。

それでも、見終わっても嫌な気持ちはなく、結末は心に残る、そんな映画です。

ぜひ一度、観てみてください。

というあたりで、それではまた。

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